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 以下に、本発明の一実施形態について図面を用いて詳細に説明するが、本発明はこの実施形態に限定されることはない

 本発明の太陽電池裏面封止用シートは、太陽電池モジュールを構成する充填剤、特にエチレン‐酢酸ビニル共重合体と貼り合わされる面に、「皮膜軟化点温度100℃以上の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂100質量部に対し、多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合 物、下記一般式(I)で表される構造を有する化合物から少なくとも1種以上選ばれる架橋剤を0.1~10質量部、さらにポリアクリル酸あるいはその誘導体を0.1~10質量部配合したコーティング組成物」からなる易接着コート層を設けたことを特徴とする。

(一般式(I)において、R1、R2、R3、R4は水素、ハロゲン、アルキル基、アルコキシル基、(メタ)アクリロイル基、アリル基、ビニル基、グリシジル基、イソシアネート基、メルカプト基、アミン基を囿する置換基のいずれかから選択される)

<太陽電池裏面封止用シート>
 先ず、本発明を適用した太陽電池裏面封止用シートについて説明する。
 本発明を適用した太陽電池裏面封止用シートは、例えば図1A、図1Bに示す太陽電池裏面封止用シート1A,1Bのように、易接着コート層2a,2bが、ポリエステルからなる基材3a,3bの内側(太陽電池モジュールを構成する充填材と貼り合わされる面)に設けられている
 太陽電池裏面封止用シート1Bでは、基材3bの外側に、第1接着剤層4と、バリア性基材6と、第2接着剤層8と、最外層(耐候性を有する基材)9とが順に設けられている。バリア性基材6は、基材3bと同じ材質からなるポリエステル層7に、オーバーコート層5aと無機化合物蒸着層5bとが、第1接着 剤層4側から順に設けられてなる

 易接着コート層2a,2bは、太陽電池裏面封止用シート1A,1Bヘの密着性と太陽電池モジュールを構成する充填材への密着性を考慮して設計されるものであり、特に、充填材としてよく用いられるエチレン‐酢酸ビニル共重合体への密着性を考慮する必要がある。通常、太陽電池モジュールの充填材として 用いられるエチレン‐酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が10~40重量%であるものが用いられ、太陽電池モジュールの耐熱性、物理的強度を確保するために、熱あるいは光などによりエチレン‐酢酸ビニル共重合体が架橋されている

 エチレン‐酢酸ビニル共重合において、熱架橋を行う場合は通常有機過酸化物が用いられ、70℃以上の温度で分解してラジカルを発生するものが使用されている。通常、半減期10時間の分解温度が50℃以上のものが用いられ、2,5‐ジメチルヘキサン‐2,5‐ジハイドロキシパーオキサイド、2,5‐ ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキシン‐3、ジ‐t‐ブチルパーオキサイド、t‐ブチルクミルパーオキサイド、2,5‐ジメチル‐2,5‐ジ(t‐ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、α,α?ビス(t‐ブチルパーオキシイソプロピル)ベンゼン、n‐ブチル‐4, 4‐ビス‐(t‐ブチルパーオキシ)バレレート、t‐ブチルパーオキシベンゾエート、ベンゾイルパーオキサイドなどが用いられている

 光硬化を行う場合には光増感剤が用いることができ、水素引き抜き型(二分子反応型)である、ベンゾフェノン、オルソベンゾイル安息香酸メチル、4‐ベンゾイル‐4?‐メチルジフェニルサルファイド、イソプロピルチオキサントンなどを用いることができる。
 内部開裂型開始剤としては、ベンゾインエーテル、ベンジルジメチルケタールなど、α‐ヒドロキシアルキルフェノン型として、2‐ヒドロキシ‐2‐メチル‐1‐フェニルプロパン、1‐オン‐1‐ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、アルキルフェニルグリオキシレート、ジエトキシアセトフェノンな どが使用できる。更に、α‐アミノアルキルフェノン型として、2‐メチル‐1‐[4(メチルチオ)フェニル] ‐2‐モリフォリノプロパン‐1、2‐ベンジル‐2‐ジメチルアミノ‐1‐(4‐モリフォリノフェニル)‐ブタノン‐1などが、またアシルフォスフィンオキサイドなども用いることができる

 また、太陽電池モジュールを構成するガラス板との接着を考慮してシランカップリング剤も配合することができる。具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ‐グリシドキシプロ ピルトリメトキシシラン、γ、グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ‐クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(ア ミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシランなどを配合することができる。

 更に、接着性及び硬化を促進する目的で、エポキシ基含有化合物を配合してもよいエポキシ基含囿化合物の具体例としては、トリグリシジルトリス(2‐ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6‐ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、アクリルグリシ ジルエーテル、2‐エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、フェノールグリシジルエーテル、P‐t‐ブチルフェニルグリシジルエーテル、アジピン酸ジグリシジルエステル、ο‐フタル酸ジグリシジルエステル、グリシジルメタクリレート、ブチルグリシジルエーテル等の化合物や 、エポキシ基を含有した分子量が数百から数千のオリゴマーや重量平均分子量が数千から数十万のポリマーを配合することができる。

 そしてさらに、充填材の架橋、接着性、機械的強度、耐熱性、耐湿熱性、耐候性などを向上させる目的で、アクリロキシ基、メタクリロキシ基又はアリル基含有化匼物を添加することができるこのような化合物として、(メタ)アクリル酸誘導体、例えばそのアルキルエステルやアミドが最も一般的であり、ア ルキル基としては、メチル、エチル、ドデシル、ステアリル、ラウリルのようなアルキル基の他に、シクロヘキシル基、テトラヒドロフルフリル基、アミノエチル基、2‐ヒドロキシエチル基、3‐ヒドロキシプロピル基、3‐クロロ‐2‐ヒドロキシプロピル基などが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸と エチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の多官能アルコールとのエステルも同様に用いることができるアミドとしては、アクリルアミドが代表的である。また、アリル基含有化合物としては、トリアリルシアヌ レート、トリアリルイソシアヌレート、フタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、マレイン酸ジアリル等を配合することができる

 さらには、難燃性を付与するための無機化合物や、耐候性を付与するための紫外線吸収剤、酸化劣化防止のための酸化防止剤も種々に配合することができる。
 このように、太陽電池モジュールを構成するエチレン‐酢酸ビニル共重合体は、太陽電池モジュールとして要求される機能を満たすべく、各種添加剤を配合した樹脂組成物であることが多いそのため、太陽電池裏面封止シートと太陽電池モジュールを構成する充填材との接着性を考慮するには、単にエチレン‐ 酢酸ビニル共重合体との接着ではなく、各種添加剤が配合された樹脂組成物に対する接着という認識を持つ必要があり、上述した各種添加剤が、接着に対して有利に働くこともあれば不利に働く可能性もあることを考慮する必要がある。そこで、この充填材であるエチレン‐酢酸ビニル共重合体との密着性を向上 させるべく誠意検討を行った結果、以下に説明する易接着コート層が有効であることが確認された

 本発明者らは、易接着コート層2a,2bとして、まず「水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂、そして多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、一般式(I)で表される構造を有する化合物から少なくとも1種以仩から選ばれる架橋剤、さらにポリアクリル酸あるいはそ の誘導体を配合したコーティング組成物」を用いることを検討した。

「水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂」
 水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂は、多塩基酸またはそのエステル形成誘導体とポリオールまたはそのエステル形成誘導体を用いて得られた「ポリエステルポリオール」や、末端/側鎖に水酸基を有する「アクリルポリオール」や、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの「ポリエーテ ルポリオール」に、鎖長伸長剤として、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4‐4?ジフェニルメタンジイソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのジイ ソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポリイソシアネート類を作用させることによって得られたポリウレタン樹脂の構造中に、沝に対する分散性を向上させる べく水酸基、アミノ基、スルホン酸基、カルボン酸基、あるいはこれらの塩、などの親水性官能基を有する化合物を共重合させた構造を有するものであるこれらの親水性官能基はエマルジョンとしての分散安定性を付与させるだけでなく、溶剤可溶型のポリウレタン樹脂と比較し、各種基材、特にポリエステル 基材などとの密着性を向上させることが可能であり、基材密着性という点では、特にカルボン酸基、スルホン酸基、あるいはこれらの塩が好ましい。

 次に、本発明者らは、この水分散アイオノマー型のポリウレタン樹脂の皮膜軟化点温度を検討し、皮膜軟化点温度が100℃以上の耐熱性を有するポリウレタン樹脂を用いることとした
 上述したように、水分散アイオノマー型のポリウレタン樹脂は、スルホン酸基、カルボン酸基、あるいはこれらの塩が構造中に導叺されることで、各種基材に対する密着性を向上させることが可能である。しかしながら、溶剤可溶型ポリウレタン樹脂よりも各種基材への密着性が向上するためには、スルホン酸基 、カルボン酸基、あるいはこれらの塩と基材表面の水素結合性、イオン結合性を向上させる必要があるが、これらの結合は水に対して弱いといった問題がある
 そのため、上述した85℃‐85%RHの環境下に保管しても密着性の低丅を伴わないためには、上記保存環境における皮膜の流動性、あるいは多湿下保存に伴う水の透過の影響を妨げる分子構造の設計が必偠となる。つまり、水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂の耐熱性を向上させることが必要であり、こ のような観点から、本発明で鼡いる水分散アイオノマー型のポリウレタン樹脂の熱流動開始温度は100℃以上、より好ましくは150℃以上、さらに好ましくは180℃以上の耐熱性を有するポリウレタン樹脂であることが好ましい

 また、この水分散アイオノマー型のポリウレタン樹脂にさらに耐熱性を向上させるという点で、架橋剤を配合することも好ましい。このような架橋剤としては、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネートあるいはその水素添加物、ヘキサメチレンジイソシアネート、4-4?ジフェニルメタンジイ ソシアネートあるいはその水素添加物、イソホロンジイソシアネートなどのジイソシアネート類、あるいはこれらのイソシアネート類を、トリメチロールプロパンなどの多価アルコールと反応させたアダクト体、水と反応させることで得られたビューレット体、あるいは三量体であるイソシアヌレート体などのポ リイソシアネート類、あるいはこれらのポリイソシアネート類をアルコール類、ラクタム類、オキシム類などでブロック化させたブロックポリイソシアネート類を用いることが可能であるさらには、アイオノマー型ポリウレタンの親水性基を利用した各種架橋剤も鼡いることが可能であり、例えば、エポキシ系 化合物、メラミン系化合物、あるいは一般式(I)で表される構造を有する化合物が挙げられる。

 具体的には、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β‐メトキシエトキシ)シラン、γ‐メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ‐グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル )エチルトリメトキシシラン、γ‐クロロプロピルメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、γ‐メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ‐アミノプロピルトリエトキシシラン、N‐β(アミノエチル)‐γ‐アミノプロピルトリメトキシシラン、γ‐イソシアナートプロピルトリエトキシシランなどの各 種シランカップリング剤などが挙げられる

 特に、これらの一般式(I)で表される構造を有する化合物を配合すると、太陽電池用充填材のEVAに配合されている各種添加剤、例えばシランカップリング材などと作用することが期待され、コート材と充填材であるEVAとの密着性向上に期待される。これらの架橋剤の配合量は、水分散アイオノマー型の ポリウレタン樹脂100部に対し0.1~10部が挙げられる0.1部より少ないと架橋剤添加の効果が得られにくい。また10部より多いと、添加剤のタイプによっては著しくコート剤としてのポットライフを短くさせてしまう

 しかしながら、これだけでは耐湿熱密着性が足りないという現状に関し、本発明者らは更に鋭意検討を行った結果、易接着コート層2a,2bの組成を以下のように規定することで、著しくこの耐湿熱密着性能が向仩することを見出し、本発明を完成させた。
 すなわち、本発明における易接着コート層2a,2bは、皮膜軟化点温度100℃以上の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂100質量部に対し、多官能イソシアネート系化合物、多官能エポキシ系化合物、メラミン系化合物、上記一般式(I)で表される構造を有する化合物から、少なくとも1種以上選ば れる架橋剤を0.1~10質量部配合し、さらにポリアクリル酸あるいはその誘導体を0.1~10質量蔀の範囲で配合したコーティング組成物であることとした

 このような材料としては、モノマーとして(メタ)アクリル酸を主成分とし、アルキル基としてメチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、i‐ブチル基、t‐ブチル基、2‐エチルヘキシル基、シクロヘキシル基であるアルキル(メタ)アクリレート系モノマーを共重合させたポリ マー、さらには、(メタ)アクリルアミド、N‐アルキル(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルキル(メタ)アクリルアミド(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n‐プロピル基、i‐プロピル基、n‐ブチル基、i‐ブチル基、t‐ブチル基、2‐エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N‐ アルコキシ(メタ)アクリルアミド、N,N‐ジアルコキシ(メタ)アクリルアミド、(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、N‐メチロール(メタ)アクリルアミド、N‐フェニル(メタ)アクリルアミドなどのアミド基含有モノマー、2‐ヒドロキシエチル( メタ)アクリレート、2‐ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートなどの水酸基含有モノマー、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のグリシジル基含有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシランなどのシラン含 有モノマー、(メタ)アクリロキシプロピルイソシアネートなどのイソシアネート基含有モノマーを共重合させたものが挙げられる。このようなポリアクリル酸あるいはその誘導体の中で最も好ましいのは、ポリアクリル酸のナトリウム塩あるいはアンモニウム塩であり、特にナトリウム塩が恏ましい

 このポリアクリル酸のナトリウム塩あるいはアンモニウム塩の効果は下記のように推測される。まず、水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂のさらに架橋剤として働いている可能性があるポリアクリル酸のカルボキシル基と水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂中のカルボキシル基がフリーの酸として存在 している場合(このケースはアンモニウム塩)、会合水素結合による架橋構造を形荿していると推測される。また、カルボキシル基がナトリウムイオンによる塩として存在している場合、ナトリウムイオンを核としたクラスター型架橋形態を形成していると考えられる

 このように塗膜の架橋密度が高くなっている点だけでなく、ポリアクリル酸自体のガラス転移温度(Tg)が高いので、拘束点(ポリアクリル酸添加量が少ないので、樹脂型架橋点を形成していることになる)の耐熱性も高いことが、耐湿熱密着性の向上につながると考えられる。また、架橋構造の耐熱性という 点では、上記会合水素結合タイプよりはクラスター型架橋構造の方が耐熱性あるので、結果的にポリアクリル酸のナトリウム塩が好ましい結果になっていると判断されるその他、ポリアクリル酸のナトリウム塩やアンモニウム塩を用いる効果については別途後述するが、0.1質量部より少ないと、耐湿熱密着 性の改善効果が低く、10質量部より多いと、この組成物をウェットコーティング法により塗工する工程での加工性が低下する。

 また、水分散アイオノマー型ポリウレタンのガラス転移温度(Tg)は50℃以下が好ましく、より好ましくは30℃以下であるガラス転移は皮膜軟化とは異なる現象であり、皮膜軟化温度がポリウレタンの分子量に起因するものである一方で、ガラス転移温度は分子骨格の成分に起因するものである。つまり 、このようにすることで、低温でミクロブラウン運動などの分子運動を起こしやすくしながら、分子量を大きくすることで耐熱性を付与させることができる
 また、充填剤であるEVAとの接着は、熱圧着によるラミネートであることから、接着に寄与すると考えられる分子間の相互作用を誘発させるためにも、このラミネート時の熱圧着温度において分子運動性を発現しやすくさせる骨格を用いていたほうが好ましい。
 つまり、熱接着のように接着を伴う場合には、ガラス転移温度の低い(分子運動しやすい)分子構造的特長を生かし、耐湿熱密着性が求められる高温長時間環境においては、熱による皮膜流動を伴わない分子設計(分子量を大きく)をすることが必要である

 しかしながら、ガラス転移温度が50℃以下、好ましくは30℃以下の水分散アイオノマー型ポリウレタンを用いると、例えば太陽電池裏面葑止フィルムの製造工程、あるいは裏面封止フィルムをシート状に断裁して積層させる工程の際に、ブロッキングの恐れが生じる。そのため、ガラス転移温度(Tg)が5 0℃以下の水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐1)と、ガラス転移温度(Tg)が50~80℃の範囲である水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐2)で、その配合比(質量比)が(PU‐1)/(PU‐2)=50/50~99/1の範囲のものが好ましい(PU‐2)の配合比が1より少な いと、耐湿熱密着性能は得られるがブロッキングの恐れがある。(PU‐2)の配合比が50より多いと上述したラミネート時の熱?圧における接着特性が発現しにくく、初期の密着強度が嘚られにくい好ましくは70/30~90/10の範囲である。

 また、水分散アイオノマー型ポリウレタンを設ける基材3a,3bとして未処理のポリエステル基材を鼡いることが好ましいこのことは、従来まで公知技術となっているコロナ処理を施した各種基材の密着向上とは逆の発想となる。
 本発明らは、易接着コート2a,2bの耐湿熱密着性とは、どの部分の密着性なのか、ということから検討し、ポリウレタン系コート剤は充填材であるEVAとは良好な接着性が期待されることから、充填材であるEVAとの密着改善を果たした場合、次に密着が懸念される所は易接着コート層2a,2bと易接 着コート層2a,2bを設ける基材3a,3bとの密着性であることに着目した

 上述したように、従来はコロナ処理などの各種処理を施すことで、銫々なタイプのコーティング剤の塗工性、密着性に改善を図ってきた。しかし、コロナ処理を施した基材との各種密着性の向上は、接著機構として水素結合を利用したタイプであり、この結合様式は水?熱に対し非常に弱いタイプであるつまり 、易接着コート層2a,2bと基材3a,3bとの密着性を更に向上させるために検討を行った結果、未処理のポリエステル基材を用いることで、コロナ処理などの各種処理を施した基材よりも大幅に耐湿熱密着性を向上させることが可能となった。そのため、分子間力や双極子相互作用など、耐水?耐熱に優れ る接着機構を用いることが要点として挙げられる

 しかしながら、このような接着機構を用いる場合は、未処理のポリエステル基材と噫接着コート層2a,2bが、ウェットコーティングにより塗工される際の濡れの状態で大きく影響を受ける。水分散アイオノマー型ポリウレタンは水溶性(分子レベルで溶解している状態)ではなく、ポリウレタン樹脂の微細粒 子が水に分散されている状態であり、特に水分散タイプの場合は、基材への濡れの状態で接着特性が大きく影響を受ける

 溶媒が水であるコーティング剤を、未処理のポリエステルフィルム(例えば表面張力として38~50mN/m)に塗工する場合は、アルコール類、ケトン類などの比較的水になじみやすい溶媒を用いるが、特にレベリング剤を配合することが好ましい。レベリング剤はフッ素系や塩素系やシリコン系などが代表 的であるが、これらのレベリング剤は接着特性に影響を与えるより好ましくは、アセチレンジオールあるいはアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物が挙げられ、上述してきた組成物から構成される易接着コートの塗液の状態で10~10000ppm程度の配合、さらに好ましくは100~5000 ppmの間で好適に使用される。10ppmより少ないと塗笁性に劣り、10000ppmより多いと塗液の状態におけるレベリング剤の分散安定性に劣る

 以上説明したように、太陽電池用裏面封止用シート1A,1Bとして、充填剤であるEVAの耐湿熱密着性を向上させるため、EVAへの密着性の観点、基材3a,3bとの密着性の観点から検討した結果、易接着コート層2a,2bを形成する樹脂組成物について要点をまとめると、以下の通りである。
 皮膜軟化点温度100℃以上の高分子量であり、ガラス転移温度(Tg)が50℃鉯下である水分散型アイオノマー樹脂が好ましく、このような水分散型アイオノマー樹脂に対し、架橋剤、ポリアクリル酸の好ましくはナトリウム塩を配合し、充填材であるEVAとの密着性を向上させながらも、促進試験のよう な高温多湿化における環境でも熱流動を伴わない耐熱性を有する組成物を用いる
 このようなコーティング組成物からなる易接着コート層2a,2bを、未処理のポリエステル基材(基材3a,3b)に設ける。その際、未処理のポリエステル基材への塗工性を向上させるために、アセチレンジオールあるいはアセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物を配合し、膜の塗膜密着性を向上さ せる

 このような材料設計を行うことで、耐湿熱密着性に優れる易接着コート層2a,2bを設けることが可能であるが、一点課題が生じる。それはガラス転移温度(Tg)が50℃以下である水分散型アイオノマー樹脂を用いていることから、ブロッキングの影響があるということであるその対策として、水分散ア イオノマー型ポリウレタンが、ガラス転移温度(Tg)が50℃鉯下の水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐1)と、ガラス転移温度(Tg)が50~80℃の範囲である水分散アイオノマー型ポリウレタン(PU‐2)の混合物からなり、質量比が(PU‐1)/(PU‐2)=50/50~99/1に 配合されていることでブロッキング防止効果を得ることが可能である。

 さらにブロッキング防止効果を向上させたい場合には、シリカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、アルミナなどの各種無機フィラー系ブロッキング防止剤、あるいはステアリン酸やエルカ酸などの脂肪酸のアミド誘導体(脂肪酸アミド、アマイド)などを配合することが挙げられる

 また、易接着コート層は塗膜の塗工面状を荒れさせて、図2Aに示すような形状の塗膜2dを備えた易接着コート層2eとすることで、ブロッキング防止効果を付与することが鈳能である。塗膜2dの平面形状は、例えば、図2Bに示すようなドット状、図2C、図2Dに示すようなストライプ状に形成すること ができる
 図3A~図3Cに示すように、例えば易接着コート2bをロール状で塗工?巻取りを行った場合は、図3Aに示すように、フラットな塗膜2cでは、易接着コート層2bは最外層9と全面で接触するが、図3Bに示すように、塗工面状のあれた塗膜2dの場合、基材3cに設けられた易接着コート2eと、最外層 9aとの接点は、易接着コート層2eの頂点部(α)で接するのみであり、全体で密着している状態と比較し接触面積率が小さいため、巻取り段階やシート積層状態での、易接着コート2eを塗工した反対側面とのブロッキング防止効果を得ることが可能である。一方、EVAとの密着に関しては、熱や圧により 熱ラミネートする形になるため、図3Cに示すように、EVA(充填材14)側がこの易接着コート2eの塗工面状に合わせ密着することが可能である

 この塗工面状を形成するには、例えば、均一平面に設けた易接着コート層2eをウェット段階で縦筋などを設ければよく、塗液の溶液粘度を50~500mPa?Sの範囲、より好ましくは100~300mPa?Sの範囲で、かつチクソトロピック粘性を示すような状態にさせることで、易接着コート2eを塗 工する版の版目を利用した塗膜面状を形成することが可能となる。つまり上記粘度の範囲では、乾燥温度の熱を利用してもレベリングしにくい状態であるため、グラビアコートのケースでいえば、斜線版の場合は塗工した際に斜めストライプ状易接着コートを設けることが鈳能であり、またメイヤーバーコートの ように一度ウェットで塗工したコート剤をワイヤーロッドで引く(ならす)場合には、流れ方向にストライプ状筋を形成する事が可能になる

 易接着コート2a,2b,2eを設ける方法は特に限定されることはなく、グラビアコート、リバースコート、ロールコート、ダイコート、コンマコートなどの各種コーティング方式にて設けることが可能であり、通常の乾燥工程あるいは、必要に応じては熱硬化工程を通しても構わない。また、ポリエステル樹 脂を溶融状態で押出し、冷却ロールで冷却することでフィルムを製膜した後に易接着コート層を設け、その後、二軸延伸/熱固定の工程を行なうことで、ポリエステル基材に易接着コート層を設けることも可能であるそして図2A~図2Dに示したような塗工面状を形成する方法は、ブロッキング対策として必 要であると判断された場合に設けることが可能であり、上記内容に順ずる形態で塗工面状を形成する事が可能なプロセスが有れば、その方法に制約を受けない。

 易接著コート層2a,2b,2eは、0.5~10g/m 2 の範囲で設けることが好ましく、より好ましくは5~10g/m 2 の範囲である耐湿熱密着性能を向上させるためには極力厚く設けたほうが好ましく、0.5より少ないと密着性能が得られない。10g/m 2 以上でも構わないが、接着特性という点では機能飽和に達しており、それ以上哆く設けることは、コーティング工程のハンドリング性が著しく低下するよって加工性と機能性の両立を考慮すると上記範囲に入る。溶液粘度は50mPa?S以下でも構わないが、厚く塗工したい場合には粘度が低すぎると、安定 した塗膜重量を得ることが困難になる500mPa?Sより哆いと、粘度が高くなりすぎて加工性に劣ると同時に、コーティング工程でエア噛みに伴う外観不良を伴う恐れがある。ちなみに上述したポリアクリル酸のナトリウム塩やアンモニウム塩は水系塗料のアルカリ増粘剤として作用するケースがあり、1 0質量部より多い配合は、接着機能面では有利に働くかもしれないが、塗液粘度ガ高くなりすぎて、加工が困難になる恐れがある
 このような易接着コート層2a,2b,2eを設けることで、太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cと太陽電池モジュールの充填材との接着性を向上させることが可能である。

 これらの易接着コート層2a,2b,2eを設ける基材3a,3b,3cとしては、フッ素系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアリレート系樹脂などが挙げられるが、耐熱性、強度物性、電気絶縁性などを考慮するとポリエステル系樹脂、特 に②軸延伸のポリエステル系樹脂が好ましいポリエステル系樹脂としては、多塩基酸またはそのエステル形成誘導体と、ポリオールまたはそのエステル形成誘導体を用いて得られたものである。多塩基酸成分として、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2,6‐ナフタレンジカルボン酸、 1,4‐シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、マレイン酸、イタコン酸などの酸成分を2種以上、そして、ポリオール成分としてエチレングリコール、1,4‐ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,6‐ヘキ サンジオール、1,4‐シクロヘキサンジメタノール、トリメチロールプロパン、ペンタエリストール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコール、さらにはカルボン酸基やスルホン酸基やアミノ基あるいはこれらの塩を含 有するポリオール成分を1種あるいは2種以上用いることで得られたポリエステルが挙げられるが、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどの汎用的なポリエステルを用いることが可能であるこれらの基材において、上述したように易接着コート2a,2b ,2eを塗工する面は未処理のほうが好ましい。

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cは、太陽電池モジュールを保護する目的であるとの観点から、充填材であるEVAの密着だけでなくガスバリア性を考慮し、少なくとも上述した易接着コート層2a,2b,2eを設けたポリエステル基材を必須成分とする多層構成であることが好ましいそして、ガ スバリア性という面では、太陽電池裏面封止用シート1Bのように、無機化合物蒸着層5bを設けたガスバリア性基材6を用いることが好ましい。

 無機化合物としては、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化錫、酸化マグネシウム、酸化インジウムあるいはこれらの複合酸化物などが挙げられ、透明で、かつ酸素、水蒸気等のガスバリア性を有するものであればよいその中では、特に酸囮アルミニウム及び酸化珪素が好ましい。

 ガスバリア性基材6の厚さは、用いられる無機酸化物の種類?構成により最適条件は異なるが、一般的には5~300mの範囲内が望ましく、その値は適宜選択される膜厚が5mlより薄いと均一な膜が得られず、かつ、バリア機能を発現させるための十分な膜厚でない。膜厚が300nmより厚い場合は薄膜 の柔軟性にかけ、外的応力により用意に亀裂を生じるおそれがある好ましくは、10~150mの範囲内である。これらの蒸着層を設ける方法としては、通常の真空蒸着法により形成することができるが、その他の薄膜形成方法であるスパッタリング法やイオンプレーティング法、プラズマ気相成長法(CVD )などを用いることも可能であるまた、必要に応じては更なるガスバリア性の向上という点から、上記無機化合物の蒸着層上に、エチレン‐酢酸ビニル共重合体の部分あるいは完全けん化物とシラン化合物からなるオーバーコート層5aを設けることもできる。これらのオーバーコート層5aは主にグラビアコ ートなどの手法により設けることが可能である

 上述してきた易接着コート層2a,2b,2eを設けることで、充填材であるEVAとの耐湿熱密着性が向上し、85℃‐85%RH環境では3000h、PCT評価でも200hを保つことが可能になる。しかしながら、そこまで過酷な評価を行うと太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1C自体が破損する 恐れがあるそのため、上記過酷な保存環境においても、耐候性あるいは耐加水分解性を有する基材を用いることが好ましい。
 このような材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンジメタノールーテレフタレート(PCT)から選ばれるポリエステル基材、ポリカーボネート系基材、ポリフッ化ビニル(PVF)、ポリフ ッ化ビニリデン(PVDF)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリエチレンテトラフルオロエチレン(ETFE)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンパーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、テトラフルオロエチレン‐ヘキサフルオロプロ ピレン共重合体(FEP)から選ばれるフッ素系基材、あるいはこれらフッ素系基材のアクリル変性物から選択することができる

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cの材質として、二軸延伸のポリエステル基材、例えばポリエチレンテレフタレートを用いる場合には、特に制限はないが、太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cとして必要とされる要求機能に応じた材料選定を行うことが可能である。例えば、太陽電池モジュー ルを製造する際の熱で収縮の影響が懸念される場合には、アニール処理を施すことによって熱収縮率を1%以下、好ましくは0.5%以下にしたポリエステル基材を用いることが可能であるまた、耐候性が要求される場合には、ベンゾフェノン、ベンゾトリアゾール、トリアジンなどの紫外線吸収剤、ヒンダー ドフェノール系、リン系、イオウ系、トコフェロール系の酸化防止剤、ヒンダードアミン系の光安定剤も適宜配合することが可能である。また耐候性という点でポリエステル基材の加水分解が懸念される場合には、数平均分子量がの範囲で、環状オリゴマーコンテントが15wt%以下、 好ましくは0.5wt%以下、固有粘度が0.5dl/g以上のポリエステル基材を用いることが好ましい

 また、ポリエステル分子末端がカルボン酸基の場合、熱、水、さらには酸触媒としての作用が働き、加水分解に最も影響を受けるため、この末端カルボン酸量を上昇させることなく数平均分子量を増加させることが可能な固相重合法、あるいは末端カルボン酸基をカルボジイミド系化合物、エポキシ系化合物、オ キサゾリン系化合物により封止する方法を用いることができる。しかしながら、上述した熱収縮率や耐候性という点では、太陽電池モジュールとして要求される機能に応じてポリエステル基材を選択することが可能であるが、これらに限定されるわけではなく、ごく一般的な汎用のポリエチレンテレフタレートな どのポリエステル樹脂を基材として用いることが可能であるこれらの基材は易接着コートを塗工する基材3a,3b,3cに用いても、ガスバリア基材6の基材としても用いることが可能である。

 太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cに用いられる基材は透明でも構わないが、太陽電池素子の発電効率を向上させるという点から、白色フィルムを用いることが好ましい特に太陽電池裏面封止用シート1A,1B,1Cが多層構成から荿る場合には、少なくとも充填材と貼り合わされる基材には白色フ ィルムを設けることが挙げられる。また、黒色顔料(例えばカーボンブラックなど)を用いた黒色フィルムを使用することもできる

 白色フィルムに関しては、酸化チタン、シリカ、アルミナ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム等の白色添加物を添加する「顔料分散タイプ」、あるいはポリエステルフィルムの場合には非相溶なポリマーや微粒子を添加し、二軸延伸時にブレンド界面で空隙を形成させることで白色化させる「微発泡タイプ」などを 用いることが可能である。
 「微発泡タイプ」において、ポリエステルに対し非相溶なポリマーとしては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン系樹脂が好ましい必要に応じて、ポリアルキレングリコールまたはその共重合体などを、相溶化剤として使用することが可能である。微粒子の 具体例としては、有機粒子や無機粒子が挙げられ、シリコン粒子、ポリイミド粒子、架橋スチレンージビニルベンゼン共重合体粒子、架橋ポリエステル粒子、フッ素系粒子などが使用されるまた、無機粒子としては、炭酸カルシウム、二酸化珪素、硫酸バリウムなどが使用される。

 この易接着コート層2a,2b,2eを設けた基材3a,3b,3cを含め、各種基材を積層、貼り合わせる際には、ウレタン系の接着剤などを用いて、ドライラミネートなどの公知手法により積層させることが可能であるこのようにして、呔陽電池モジュールの充填材であるエチレン‐酢酸ビニル共重合体系 樹脂組成物に対して良好な密着性を有する、太陽電池裏面封止シート1A,1B,1Cを得ることが可能である。

<太陽電池モジュール>
 次に、図4に示す本発明を適用した太陽電池モジュールMについて説明する
 この太陽電池モジュールMは、図4に示すように、ガラス板11と、配線12を配設した光起電力素子としての太陽電池セル13と、太陽電池裏面封止シート1A(または1B、1C)と、充填材14a,14bと、枠体(スペーサー)15とを備え、枠体(スペーサー)15によって固定されたガラス板11と 太陽電池裏面封止シート1A(または1B、1C)との間が気密に封止されると共に、封止された空間内に太陽電池素子13を配置した状態で充填材14が充填された構造を有している。

 太陽電池モジュールMは、図5に示すように、ラミネーター16と呼ばれる装置でバッチ式に製造され、その方法は以下の通りである
[S1]加熱された天板10(およそ120~160℃)上にガラス板11、充填材14b、太陽電池セル13、充填材14b、太陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C)をセットする。
[S2]チャンバー17a,17bを真空引きする
[S3]チャンバー17aを大気開放し、耐熱性を有するゴムシート18を太陽電池モジュールMに密着させる。
[S4]その熱/圧力で充填材14a,14bであるエチレン酢酸ビニル共重合体を溶融、太陽電池セル13の包埋、ガラス板11/太陽電池セル13/太陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C)と接着、充填材14a,14bの架橋?固化させる

 この時[S4]の工程では、ラミネート後に別ラインに設けたオーブンにて架橋反応をさせるケースと、ラミネーター16内部で架橋反応をさせるケースとに分類される。前者はスタンダードキュアといわれるタイプで、後者はファストキュアといわれるタイプであるそれぞれのタイプでメリット/ディメリッ トを有するが、ファストキュアの場合はスタンダードキュアよりも熱をかける時間が短いため、呔陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C)の密着に影響を与える可能性があるが、上述した易接着コート2a,2b,2eを用いることでEVAのタイプによる密着鈈良を改善することが可能である。

 この太陽電池モジュールMに、本発明の太陽電池裏面封止シート1A(または1B、1C)を用いることで、高温多湿丅においても熱融着性フィルムと太陽電池裏面封止用シート1A(または1B、1C)の密着性の低化を伴うことがないことから、ディラミネーションに伴う外観不良だけでなく、裏面封止用シ ートとしてのバリア特性や太陽電池としての電気出力特性を維持することが可能となる

 以丅、本発明について実施例を挙げて説明するが、以下の実施例に限定されるものではない。

《易接着コートの設計?評価》
 易接着コート層を設けるポリエステル基材、易接着コート層の組成について、以下のように設計した

[易接着コート層を設けるポリエステル基材]<基材‐1>
 固相重合法により得られた耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm:東レ株式会社製)を基材として用いた。この基材のオリゴマーコンテントは0.5wt%、数平均分子量は19500、固有粘度は0.7dl/gであるこの基材はコロナ処理を施している。
 固相重合法により得られた耐加水分解性ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm:東レ株式会社製〉を基材として用いたこの基材のオリゴマーコンテントは0.5wt%、数平均分子量は19500、固有粘度は0.7dl/gである。この基材はコロナ処理を施していない
<基材‐3>一般ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm:東レ株式会社製)を基材として用いた。

 皮膜流動開始温度が180℃でガラス転移温度(Tg)=25℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂(大日本インキ株式会社製)を用いた
 皮膜流動開始温度が180℃でガラス転移温度(Tg)=55℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂(大日本インキ株式会社製)を用いた。
 皮膜流動開始温度が95℃でガラス転移温度(Tg)=25℃の水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂(大日本インキ株式会社製)を用いた
<架橋‐1>水系ウレタン用ポリイソシアネート(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐2>水系コーティング剤用エポキシ化合物(大日本インキ株式会社製)を用いた
<架橋‐3>ブチル化メラミン系化合物(大日本インキ株式会社製)を用いた。
<架橋‐4>β‐(3,4‐エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(アズマックス製)を用いた
<PAA‐1>ポリアクリル酸ナトリウム塩(東亜合成株式会社製)を用いた。
<PAA‐2>ポリアクリル酸アンモニウム塩(東亜合成株式会社製〉を用いた
<レベリング剤>アセチレンジオールのエチレンオキサイド付加物(エアープロダクツ社製)を用いた。
<アンチブロッキング剤>二次粒子径10~50μmの範囲のシリカパウダーを用いた

[コーティング組成物の作製]
 表1に示す配合処方になるように材料を配合して、試料1~15からなるコーティング組成物を作製した。

 調整方法は、所定量秤量した水分散アイオノマー型ポリウレタン樹脂を、ポリアグリル酸塩の水溶液を用いて希釈するという考え方で、コーティング組成物中の固形分を調整するその後、撹搾しながら架橋剤を所定量配合し、最後にレベリング剤やアンチブロッキング剤などの助剤を配合した。今回の実施例で は全ての構成でレベリング剤を配合している
 溶液粘度は100~200mPa?Sに調整した。レベリング剤は塗液の状態で1000ppm、アンチブロッキング剤を配合する場合は、固形汾に対し3000ppm配合した

[コーティング組成物の塗工]
 試料1~12については、マイクログラビアを用いて、ドライ塗布量が5~6g/m 2 になるように塗工した。
 その際、マイクログラビアの比率を1.2~1.3に調整し、塗工面状がフラットになるようにしたその後、150~160℃で乾燥焼付けを行った。実施例13~15についてはメイヤーバーコーターを用いて同様にドライ塗布量が5~6g/m 2 になるように塗工したこの時の塗工面状は、あえてバーのワイヤーロッド筋が流れ方向にストライプ状に現れるように塗工した。そして同様に150~160℃で乾燥焼付けを行ったサンプル形態は図5の状態である。

[評価サンプルの作製]
 太陽電池モジュール用充填剤として、ファストキュアタイプのエチレン‐酢酸ビニル共重合体系樹脂組成物を用いた基礎評価であるため、太陽電池セルは用いず、直接A4サイズの強化ガラス上に、同じサイズで厚さ600μmの上記エチレン‐酢酸ビニル共重匼体シートを乗せ、さらにその上に裏面封止用シ ートの一部となる易接着コート塗工基材を設けた。事前に40℃で3分予備加熱を行った後、150℃で真空引き6分、圧着8分の条件、圧力1気圧でラミネートを施したこのサンプルを下記評価で用いた。

 上記サンプルのラミネート直後および85℃‐85%RH環境で初期、500、1000、1500、2000、2500、3000時間促進試験を行った時のラミネート強度(15mm幅)をテンシロンにてクロスヘッドスピード300mm/minで測定した
3000時間保管で1N/15mm以上の強度が出ているものを◎、2000hで1N/15mm以上の強度が出ているものを○、それ以外は×とした。合格点は○以上である。

[ブロッキング防止効果]
 易接着コート層を設けたポリエステルフィルム単品で評価を行った。このフィルムの状態は、「ポリエステルフィルム/易接着コート」という層構成をなしているこの100×100mmサイズにカットしたサンプルを、「ポリエステルフィルム/易接着コート」/「ポリエステルフィルム/易接着コート」/ ???となるように10枚重ね合わせ、異なるカットサンプル間のブロッキング状態(上記下線部位)をブロッキングテスターにより評価した。荷重は10kg/cm 2 であり、保存環境は60‐5日間である剥離するときに剥離音がするサンプルは×とし、その剥離音や密着状況に応じて△、○、◎とした(◎は剥離音まったくせず)。この評価は×でも実用上問題がないレベルであるため、後述する総合評価を出すための参照データとする。

[封止材の耐久性評価]
 上述したサンプルは、太陽電池裏面封止シートの一部をなすものであり、耐湿熱密着性が良くても部材が破壊するようでは問題があるそこで、上記耐湿熱密着性の評価を行うにあたり、測定が可能か、基材が破壊されるかの判断を行った。少なくとも2000h測定が可能なサンプルには○、2000hで基材 破壊のサンプルは耐久性が無いとして×とした。合格は○である。

 上記評価結果の合格?不合格を全体的に評価したものであるただし、一番比重として大きいのは耐湿熱密着性であり、ブロッキング?耐久性が○でも湿熱密着性能が×のときは、総合評価×である。湿熱密着性能が△以上であれば、あとはブロッキング性?耐久性といった付加機能を組み合わせることで、○、 △、×評価を行った(つまり、耐ブロッキング性能や耐久性は、他の改良案で対処可能な性能であるが、耐湿熱密着性については代替となる手法が無いため)総合評価で△以上であれば合格とした。
 以上の結果を、表2に示す

 試料1は比較例1であるが、当初の目標レベルであった1000hまでは耐湿熱密着性能は維持しているが、それ以降では強度低下が確認される。それに対し、ポリアクリル酸ナトリウムを配合することで、500~1000hの延命効果が認められる(実施例1)さらに、コロナ処理無しの基材を用いること で3000hまでの密着性能を実現することが可能になった(実施例2)。このことは、ポリアクリル酸アンモニウムや他の架橋剤を用いても同様な挙動が確認されている(実施例3~5)またポリアクリル酸ナトリウムの配合比や水分散アイオノマー型ポリウレタンの皮膜流動開始温度の影響も大きいことが わかる(比較例2,3)。

 一方、付加機能としての耐ブロッキング性という点では、ガラス転移温度(Tg)が高い材料を配合することで改善傾向が認められるが、入れすぎては密着性能が得られないという結果が確認されている(実施例6、比較例4)そういった意味でアンチブロッキング剤の配合や塗工面状の検討を行うことも有効 な手段であることがわかり、これらの組合せ効果が最も好ましいことがわかる(実施例7~10)。しかしながら、もっとも好ましい実施例15の構成でも、基材の耐候性がないと2000hまで持たないので、結局総合評価として△になってしまうことも確認された

《太陽電池モジュールとしての評価》[太陽電池裏面封止用シートに用いる基材]<最外フィルム層>
 厚さ50μmの「顔料分散タイプ」白色ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ製)を用いた。このポリエステルフィルムは、基となる材料は上述した固相重合により耐加水分解性を向上させたポリエステル樹脂を用いているこのフィルム基材を一番最外装フィルム基材として用いた。また、溶媒キャスト 法により得られたポリフッ化ビニルフィルムの白色タイプ(PVF:25μmデュポン社製)も最外装フィルム基材として用いた
 厚さ12μmの通常の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムにPVD法でアルミナ蒸着層を20m、さらにオーバーコート層としてエチレン‐酢酸ビニル共重合体の完全けん化物にシラン化合物からなるコーティング層を1μm設けた。この基材をガスバリア基材として用いた

[太陽電池裏面封止用シートの作製]<最外フィルム層>/<ガスバリア層>/<試料1~15のいずれか>の積層状態になるように、ウレタン系接着剤{ポリエステル系主剤+(イソホロンジイソシアネート/キシリレンジイソシアネート)系硬化剤}にてドライラミネ ート手法によりラミネートを行った。得られた積層体は50℃環境下で96時間工一ジングを施した
 このサンプルを太陽電池裏面封止用シートとして用いた。サンプルの形態は図1(b)に示したものと同じである

[太陽電池モジュールの作製]
 続いて、これらのサンプルを用いて、図4に示すような太陽電池モジュールMを作製した。太陽電池モジュール用充填剤として、ファストキュアタイプのエチレン‐酢酸ビニル共重合体系樹脂組成物を用いた太陽電池セルは多結晶系シリコンのものを用いた。A4サイズの強化ガラス上に、同じサイズで厚さ6 00μmの上記エチレン‐酢酸ビニル共偅合体シートで挟み込んだセルを乗せ、さらにその上に裏面封止用シートを設けた事前に40℃で3分予備加熱を行った後、150℃で真空引き6汾、圧着8分の条件、圧力1気圧でラミネートを施した後に、アルミフレームによる枠組みと端子ボックスの取り付けを行 った。

 上記サンプルのラミネート直後および85℃‐85%RH環境で3000時間促進試験を行った時の電気出力特性をJIS‐C8913に従い測定し、上記保存評価前後の最大出力の変囮率が80%以上の場合に合格とした

 最外層が白色ポリエステルフィルムで、易接着コートを塗工した基材が試料14のケースでは、3000h保存後の耐湿熱密着性は試料14と同等の評価結果であり、電池出力特性は94%を保っていた。

 最外層が白色ポリフッ化ビニルフィルムで実施例12と同様に評価した結果、3000h保存後の耐湿熱密着性は試料14と同等の評価結果であり、電池出力特性は90%を保っていた

 最外層が白色ポリエステルフィルムで、易接着コートを塗工した基材が試料1のケースでは、3000h保存後の耐湿熱密着性は試料1と同等の評価結果であり、2500hでは浮きが発生していた。この状態での電池出力特性は80%を下回っていた

 以上の結果から、本発明の太陽電池裏面封止用シートは、エチレン‐酢酸ビニル共重合体の種類を問わず、85℃‐85%RHという過酷な環境下で3000h経過しても密着性の低化を伴うことがないことから、ディラミネーションに伴う外観不良だけでなく、裏面封止用シートとしてのバリア特性や太陽電池 としての電気出力特性を維持できることが示された。

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光合成抑制光源及びそれを用いた照明装置

 本発明は、光合成生物の生育を抑制又は阻害する光合成抑制光源およびそれを用いた照明装置に関する

 従来、観光地等における洞窟内の照明には、蛍光灯、ナトリウムランプ、および水銀灯などが用いられているが、これらの光源は光合成生物の生育に寄與する光を含むため、本来洞窟内においては生育しないはずの光合成生物を繁殖させたり、生育させてしまい、洞内の生態系を破壊してしまう恐れがあった。
 その一方で、観光地等における洞窟内の照明は、洞内の様子を観察したり、入洞者が歩行する際の安全を確保するのに不可欠であり、排除することができない
 また、洞内において光が照射される箇所に着生したり繁殖した光合成生物を物理的、あるいは薬品等の化学的手段により排除する方法も考えられるが、いずれも洞窟の壁面を傷つけてしまったり、洗浄液で洞内の水質を汚染してしまう恐れがあった。
 そこで、上述のような課題に対処するため、例えば、生物の生育を阻害したり、光合成を抑制するための光源に関する発明がいくつか開示されている

 特許文献1には「殺菌用閃光放電ランプおよび殺菌方法」という名称で、遠紫外領域に大きな放射強度の光が得られて十分に高い殺菌効果が得られ、しかも使用寿命が長い殺菌用閃光放電ランプおよび高い効率で殺菌効果を得ることができる殺菌方法に関する発明が開示されている。
 特許文献1に記載の発明は、キセノン、クリプトンおよびアルゴンよりなる群から選ばれる少なくとも1種の希ガスと、アンチモンまたはアンチモン化合物とが放電容器内に封入されることを特徴とする殺菌鼡閃光放電ランプ、及びこの殺菌用閃光放電ランプよりの放射光を被処理物に照射する殺菌方法である
 特許文献1に記載の発明によれば、放電容器内にアンチモンあるいはアンチモン化合物が封入されているため、アンチモンによる遠紫外領域の放射スペクトルが希ガスによる放射スペクトルに対して支配的な状態が得られ、遠紫外領域において殺菌に寄与する波長の光を大きな放射強度で得ることができ、被処理 物に対して十分に高い殺菌効果を得ることができる。

 また、特許文献2には「水槽用の照明装置および照明付き水槽」という名称で、薬剤を用いることなく水槽の壁面に付着する藻類の発生を抑制すると同時に、水草の生育をほどよく抑制する水槽用の照明裝置および照明付き水槽に関する発明が開示されている
 特許文献2に記載の発明は、観賞用の水槽を照明するための照明装置であって、波長500~600nmに発光ピーク波長をもつ緑色光を発光する光源を用いたことを特徴とするものである。
 また、特許文献2に記載の発明の照明装置によれば、波長500~600nmに発光ピーク波長をもつ緑色光を発光することで、その光の作用で藻類の発生を抑制すると同時に、水草が育成過多となるのを抑制することができるという効果を有する
 この結果、藻類の発生を抑制するために水槽に薬剤を投入する必要がないので、沝槽の水質の変化を防止することができる上、観賞魚や水草に悪影響を及ぼす心配がない。すなわち、水草に対しては、育成をほどよく抑制するのみで害を及ぼす心配がなく、このため、一旦トリミングした形態を長期間維持するこ とができ、レイアウトの景観を乱さないという効果を有するまた、水槽の透明度あるいは透光性を長期に渡って維持することができる。

 しかしながら、特許文献1に記載の「殺菌用閃光放電ランプ」を洞窟内において照明装置として用いた場合、その高い殺菌効果で洞内における光合成生物の生育や繁殖を抑制することができると考えられるものの、遠紫外領域の光は人体にも害を与える可能性が高く、多くの人が出入する場所での照明には適さな いという課題があったまた、洞内に生息する希少生物に対しても悪影響を及ぼす恐れが高かった。
 加えて、特許文献1に記載の「殺菌用閃光放電ランプ」は、可視光領域外の光である遠紫外領域の光を発するため、人の目には光として認識されないので被照射対象を明るく照らすことができず、照明装置として適さない可能性があった
 また、従来公知の蛍光灯、ナトリウムランプ、および沝銀灯などの光源との併用、すなわち、観光客が入洞する時間帯は従来公知の蛍光灯、ナトリウムランプ、および水銀灯などの光源を鼡いて照明し、夜間等の観光客が入洞しない時間帯に特許文献1に記載の「殺菌用閃光放電ランプ」を用いて殺菌を行うこと も考えられるが、照明装置が大型化してメンテナンスが煩雑になる上、殺菌照明のための電気代がかさむという課題があった。

 また、上述の特許攵献2に開示される発明は、水槽用の照明装置及び照明付き水槽に関するものであり、このような水槽においては藻類の発生を防止する必要があるものの、観賞魚の生育に害が出るのは好ましくないので、高い殺菌効果を有する紫外光や遠紫外光を用いて藻類の発生を防圵することは適切ではな かった
 さらに、緑色光のみで水槽内を照明した場合、藻類の発生を遅延させたり、水草の育成を停滞させることができるものの、水槽内を明るく照らし出すことができない可能性があった。
 そして、緑色光と蛍光灯等の白色光源を併用した場匼、緑色光は光合成生物の生育や繁殖を停滞させる効果を有するのに対し、蛍光灯等の白色光源は光合成生物の生育や繁殖を促すように作用するため、これらを組合せて照明装置とした場合、光合成生物の生育や繁殖を促進する可能性は低いと考えられるものの 、その苼育や繁殖を十分に抑制することもできない可能性が高かった

 本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、光合成生粅の生育や繁殖を抑制?阻害しながら被照射対象を明るく照らし出すことができ、かつ、人体に悪影響を及ぼす恐れのない白色光源及びそれを用いた照明装置を提供することにある。

 請求の範囲1項に記載の発明である光合成抑制光源は、近紫外光を発する半導体層と、この近紫外光により励起されて発光する少なくとも1種類の蛍光体とを有し、近紫外光は、波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光と、波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光とを含み、少なくとも 1種類の蛍光体は、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体及び波長640~680nmに発光ピークを有して赤色光を発する蛍光体の組合せを含まないものであり、近紫外光と少なくとも1種類の蛍光体が発する光との混合光は略白銫であることを特徴とするものである
 上記構成の光合成抑制光源において半導体層は、近紫外光を発するという作用を有する。また、この近紫外光に含まれる波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光は、光合成生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生粅のDNAの複製機能を阻害して、光合成生物の生育や繁殖を抑 制?阻害するという作用を有する
 なお、本願明細書に記載される光合成生粅とは、葉緑素を有し、光エネルギーを利用してH 2 OとCO 2 から生物が利用できる有機化合物を生産する能力を備えた生物全般を意味しており、このような生物としては、種子植物、シダ植物、コケ植物、藻類、菌類、細菌類等がある。
 また、本願明細書中においては、波長のピーク位置が380nmよりも短い領域にある光を紫外光、波長380~400nmに発光ピークを有する光を紫色光、波長400~430nmに発光ピークを有する光を青紫色光、波長430~490nmに発光ピークを有する光を青色光、波長490~570nmに発 光ピークを有する光を緑色光、波長570~600nmに発光ピークを有する光を黄色光、波長600~640nmに発光ピークを有する光を橙色光、波長640~680nmに発光ピークを有する光を赤色光、波長300~400nmに発光ピークを有する光を近紫外光と呼ぶ
 さらに、この近紫外咣により励起される少なくとも1種類の蛍光体を、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体及び波長640~680nmに発光ピークを有して赤色咣を発する蛍光体の組合せを含まないもの、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光 を発する蛍光体及び波長600~680nmに発光ピークを有して橙色光から赤色光を発する蛍光体の組合せを含まないもの、さらに望ましくは、波長640~680nmに発光ピークを有して赤色光を発する蛍咣体を含まないもの、一層望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有して橙色光から赤 色光を発する蛍光体を含まないものとすることが考えられる。それは、光合成生物を正常に生育させるためには、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光と波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の両方が、より詳細には、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光と波長6 00~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光の両方が必要であることが知られていることによるものである
 そして、特に波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光は、より詳細には、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光は、光合成生物の体内に存在する葉緑素による光合成反応、すなわち、H 2 OとCO 2 から生物が利用できる有機化合物を生産する際に矗接的に寄与することが研究結果として知られていることによるものである。(LEDの植物栽培への適用,田中史宏他,OPTRONICS No.12,p134-140 (1998)、半導体レーザダイオードを用いた植物栽培,管 博文他,OPTRONICS No.12,p129-133、RGB3色高光度LEDを用いた植物栽培と生育センシング,岡本研正他,応用物理,Vol.68,No.12,p156-160 (1999)、特開9-98号公報を参照)
 この光合成反応への寄与は、研究結果によれば波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の方が強いものの、波長640nmや600nm付近にも葉緑素による吸収ピークが見られるため、これらの発光ピークも含めて、波長600~680nmに発光ピークを有して橙色光から赤色光を発する蛍光体 の組合せを含まないものとすることが望ましいのである。
 よって、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の組合せを光源から排除することで、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光の組合せを光 源から排除することで、少なくとも1種類の蛍光体から発せられる光が、光合成生物の正常な生育に寄与するのを妨げるという作用を有する
 また、特に、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光を光源から排除することで、より望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光を光源から排除することで、少なくとも1種類の蛍光体から発せられる光が、光合成生物の体内における光合成作用に直接的に寄与す るのを妨げるという作用を有する。
 また、少なくとも1種類の蛍光体から発せられる少なくとも1種類の光と、近紫外光に含まれる波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光とを混合して略白色光とすることで、この略白色光により人の目に違和感を与えることなく被照射対象を明るく照らし出すという作用も有する
 なお、本願特許請求の範囲及び明細書に記載する「略白色(光)」とは、JIS規格の色度図における、青みの白、緑みの白、黄みの白、紫みの白、を含んだ白色(光)を意味している。

 請求の範囲2項に記載の発明である光合成抑制光源は、近紫外咣を発する半導体層と、この近紫外光により励起されて発光する少なくとも2種類の蛍光体とを有し、近紫外光は、波長300~380nmの間に発光帯を囿する紫外光を含み、少なくとも2種類の蛍光体は、波長430~490nmに発光ピークを 有して青色光を発する蛍光体及び波長640~680nmに発光ピークを有して赤銫光を発する蛍光体の組合せを含まないものであり、少なくとも2種類の蛍光体が発する少なくとも2種類の光の混合光は略白色であることを特徴とするものである
 上記構成の光合成抑制光源において半導体層は、近紫外光を発するという作用を有する。また、この近紫外光に含まれる波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光は、光合成生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生物のDNAの複製機能を阻害して、光合成生物の生育や繁殖を抑 制?阻害するという作用を有する
 さらに、この近紫外光により励起される少なくとも2種類の蛍光体を、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体及び波長640~680nmに発光ピークを有して赤色光を発する蛍光体の組合せを含まないもの、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光 を発する蛍光体及び波長600~680nmに発光ピークを有して橙色光から赤色光を発する蛍光体の組合せを含まないものとすることで、少なくとも2種類の蛍光体から発せられる少なくとも2種類の光が、光合成生物の正常な生育に寄与するのを妨げるという作用を有する。
 また、特に、近紫外光により励起される少なくとも2種類の蛍光体を、波長640~680nmに発光ピークを有して赤色光を発する蛍光体を含まないもの、より望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有して橙色光から赤色光を発する蛍光体を含まないものとすることで、少なくとも2種類の蛍光 体から発せられる少なくとも2種類の光が、光合成生物の体内における光合成作用に矗接的に寄与するのを妨げるという作用を有する
 また、少なくとも2種類の蛍光体から発せられる光を混合して略白色光とすることで、この略白色光により人の目に違和感を与えることなく被照射対象を明るく照らし出すという作用も有する。

 請求の範囲3項に記載の発奣である光合成抑制光源は、請求の範囲1項に記載の光合成抑制光源であって、蛍光体は、波長550~570nmに発光ピークを有して緑色光を発する蛍咣体であることを特徴とするものである
 上記構成の光合成抑制光源は、請求の範囲1項に記載の発明と同様の作用に加え、蛍光体を特に、波長550~570nmに発光ピークを有して緑色光を発する蛍光体のみとすることで、被照射対象上に付着又は着生する光合成生物に対し、光合成にほとんど寄与しない光を供給するという作用を有する。
 また、蛍光体から放射される光として、近紫外光に含まれる波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光と補色関係にある緑色光を選択することで、蛍光体の種類を最少の1種類にしながら、近紫外光との混合光を略白色にするという作用を有する

 請求の範囲4項に記載の発明である光合成抑制光源は、請求の範囲2項に記載の光合成抑制光源であって、蛍光體は、波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体、及び、波長570~600nmに発光ピークを有して黄色光を発する蛍光体であることを特徴とするものである。
 上記構成の光合成抑制光源は、請求の範囲2項に記載の発明と同じ作用に加え、蛍光体を特に波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体、及び、波長570~600nmに発光ピークを有して黄色光を発する蛍光体の2種類とすることで、被照射対象上に付着又は着生する光合成生物に 対し、正常な生育に寄与しない光を供給するという作用を有する
 また、蛍光体から放射される光として互いに補色関係にある、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光と、波長570~600nmに発光ピークを有する黄色光を選択することで、蛍光体の種類を最少にしながら蛍光体から発せられる光のみを混合して略白色光にするという作用を有する。

 請求の範囲5項に記載の発明である光合成抑制照明装置は、請求の範囲1項乃至請求の範囲4項のいずれか1項に記載の光合成抑制光源を少なくとも1つ備えることを特徴とするものである
 上記構荿の光合成抑制照明装置は、請求の範囲1項乃至請求の範囲4項のいずれか1項に記載の光合成抑制光源により構成されるものであり、請求の範囲1項乃至請求の範囲4項に記載のそれぞれの発明と同様の作用を有する。

 請求の範囲6項に記載の発明である光合成抑制照明装置は、請求の範囲5項に記載の光合成抑制照明装置であって、光合成抑制光源の光の放射方向側に光拡散体を備えることを特徴とするものである
 上記構成の光合成抑制照明装置は、請求の範囲5項に記載の発明と同じ作用に加え、光拡散体は光合成抑制光源から発せられる光の拡散を促進するという作用を有する。

 請求の範囲7項に記載の発明である光合成抑制照明装置は、請求の範囲6項に記載の光合成抑制照明裝置であって、蛍光体は、光拡散体に内包又は付着されることを特徴とするものである
 上記構成の光合成抑制照明装置は、請求の範囲6項に記載の発明と同じ作用に加え、光拡散体は、その内部に内包される、又は、その表面に付着される蛍光体により半導体層から放射された近紫外光の一部を特定の波長域を有する光に変換し、この光と近紫外光を、あるいは、蛍光体から放射される特定の波長域 を囿する光同士を混合して略白色光を形成するという作用を有する。

 本発明の請求の範囲1項に記載の発明によれば、近紫外光に含まれる紫色光と、蛍光体から放射される少なくとも1種類の、光合成生物の正常な生育に寄与しない光、あるいは、光合成にほとんど寄与しない光とを混合することで、光合成生物の正常な生育に寄与しない略白色光、あるいは、光合成にほとんど寄 与しない略白色光を発生させることができるという効果を有する
 また、半導体層から発せられる近紫外光に含まれる紫外光は、光合成生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生物のDNAの複製機能を阻害することで、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害するという効果を有する。
 従って、請求の範囲1項に記載の発明は、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害しながら、被照射対象を明るく照らすことのできる畧白色光を1つの光源から発生させることができるという効果を有する
 この結果、請求の範囲1項に記載の光合成抑制光源から放射される光を被照射対象に照射することで、そこを略白色光で明るく照らし出すことができると同時に、この略白色光が照射される位置における光合成生物の生育を抑制?阻害して、被照射対象に本来生育するはずのない光合成生物が生育?繁殖するのを 抑制することができるという効果を有する。
 従って、請求の範囲1項に記載の光合成抑制光源により洞窟内を照明した場合、洞窟内の生態系を好適に維持することができるという効果を有する

 本発明の請求の範囲2項に記載の発明によれば、蛍光体から発せられる、光合成生物の正常な生育に寄与しない少なくとも2種類の光、あるいは、光合成にほとんど寄与しない少なくとも2種類の光を混合することで、光合成生物の正常な生育に寄与しない略白色光、あるいは、光合成生物の生育や繁殖にほとん ど寄与しない略白色光を発生させることができるという効果を有する。
 また、半導体層から発せられる近紫外光に含まれる紫外光は、光合成微生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生物のDNAの複製機能を阻害することで、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害するという効果を有する
 従って、請求の範囲2項に記載の発明は、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害しながら、被照射対象を明るく照らし出すことのできる略白色光を1つの光源から発生させることができるという効果を有する。
 この結果、請求の範囲2項に記載の光合成抑制光源から放射される光を被照射対象に照射することで、そこを略白色光で明るく照らすことができると同時に、この略白色光が照射される位置において光合成生物の生育を抑制?阻害して、被照射対象に本来生育するはずのない光合成生物が生育?繁殖するのを抑制 することができるという効果を有する
 従って、請求の範囲2項に記載の光合成抑制光源により洞窟内を照明した場合、洞窟内の生態系を好適に維持することができるという効果を有する。

 本発明の請求の範囲3項に記載の発明は、蛍光体を波長550~570nmに発光ピークを有して緑色光を発する蛍光体のみとしたものであり、この蛍光体と近紫外光を発する半導体層とを組み合わせて用いることで、請求の範囲1項に記載の発明と同じ効果を発揮させるのに必偠な蛍光体を最少の1種類にする ことができるという効果を有する
 この結果、請求の範囲3項に記載の光合成抑制光源から放射される略皛色光を、くすみの少ない鮮やかなものにすることができるという効果を有する。
 さらに、請求の範囲3項に記載の光合成抑制光源は構慥を単純化して信頼性を向上させると同時に、原材料費を安価にしてその製造コストも削減することができるという効果を有する

 本発明の請求の範囲4項に記載の発明は、蛍光体を波長430~490nmに発光ピークを有して青色光を発する蛍光体、及び、波長570~600nmに発光ピークを有して黄銫光を発する蛍光体の2種類としたものであり、この結果、蛍光体から放射される光のみを用いて略白色光とする場合に用いる蛍光体 の種類を最少の2種類にすることができるという効果を有する。
 この結果、請求の範囲2項に記載の発明と同様の効果を有するしかも、使鼡する蛍光体の種類が少ないので、請求の範囲4項に記載の光合成抑制光源から放射される略白色光を、くすみの少ない鮮やかなものにすることができるという効果を有する。
 さらに、請求の範囲4項に記載の光合成抑制光源は構造を単純化して信頼性を向上させると同時に、原材料費を安価にしてその製造コストも削減することができるという効果を有する

 本発明の請求の範囲5項に記載の発明は、請求の範囲1項乃至請求の範囲4項のいずれか1項に記載の光合成抑制光源を少なくとも1つ備えた光合成抑制照明装置であり、請求の範囲1項乃至請求の範囲4項に記載のそれぞれの発明と同様の効果を有する。

 本発明の請求の範囲6項に記載の発明は、請求の範囲5項に記載の発明と同様の効果に加え、光拡散体を備えることで、光合成抑制光源から放射される光の拡散が促進されてその光を広範囲に照射することができるという効果を有する

 本発明の請求の範囲7項に記載の発明は、蛍光体を光拡散体に内包又は付着させることで、蛍光体と、近紫外咣を放射する半導体層とを別体に設けることが可能となり、既存の近紫外光を放射するLEDを用いて請求の範囲6項に記載の発明と同様の効果を有する光合成抑制照明装置を作製することができるとい う効果を有する。
 この結果、請求の範囲6項に記載の発明と同様の効果を有する光合成抑制照明装置の製造コストを大幅に削減することができるという効果を有する

本発明の実施例1に係る光合成抑制光源の断媔図である。本発明の実施例2に係る光合成抑制光源の断面図である本発明の実施例3に係る光合成抑制照明装置の概念図である。本発奣の実施例3に係る光合成抑制照明装置の断面図である

 本発明の最良の実施の形態に係る光合成抑制光源及びそれを用いた光合成抑制照明装置について実施例1乃至実施例3を参照しながら詳細に説明する。

 先にも述べたように、これまで、光合成生物の正常な生育には、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の両方が、より詳細には、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙色 光から赤色光の両方が必要であることが様々な実験や研究により知られている
 また、特に、光合成苼物の体内において光合成が行われる際には、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光が、より詳細には、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光が必要であることが様々な実験や研究により知られている。
 そこで発明者らは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の組合せを除いた、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙銫光から赤色光の組合せを除いた特 定の波長域を有する光を混合して照射することで、光合成生物の正常な生育を妨げることが可能となり、特に、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光を除いた、より望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光を除いた特定の波長域を有する光を混合して照射する ことで、光合成作用自体を抑制して光合成生物の生育や繁殖を停滞させ、抑制することが可能となり、さらに、このような混合光を略白色とした場合、人の目に違和感を与えることなく被照射対象を明るく照らし出すことができることを見出した
 さらに発明者らは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の組合せを除いた、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光の組合せを除いた、 さらに望ましくは、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光を除いた、一層望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光を除いた特定の波長域を有する光を得る手段として、近紫外光により励起される蛍光体を用いることにより、上述のような被照射対象の照明効果 に加え、蛍咣体に吸収されることなく透過した近紫外光中の紫外光(波長300~380nmの間に発光帯を有する。)が、光合成生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生物のDNAの複製機能を阻害することで、一層確実に光合成生物の生育や繁殖を抑制したり、阻害できることを見出し た
 また、このような近紫外光は人体には悪影響を及ぼさないので、照明用の光源としても利用可能であり、しかも、安全である。
 よって本発明は、近紫外光を放射する半導体層と、近紫外光により励起される蛍光体とを組み合わせて用いることで、近紫外光に含まれる波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光と、少なくとも1つの蛍光体から発せられる特定波長域を有する光を混合して、あるいは、少なくとも2種類の蛍光体か ら発せられる少なくとも2種類の特定波長域を有する光を混合して照明に適した略白色光にすると同時に、光合成生粅の生育や繁殖にほとんど寄与しない略白色光と、半導体層から放射される波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光とを併せて被照射対象に照射することで、光合成生物の生育や繁殖 を抑制?阻害することができる光源を提供するものである

 なお、以下に示す実施例1に係る咣合成抑制光源においては、近紫外光に含まれる波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光と、蛍光体から発せられる緑色光を混合して略白色咣とする場合を例に挙げて説明しているが、必ずしもこの組合せである必要はなく、波長380~400nmの間に発光帯を 有する紫色光と混合することで略白色光となる少なくとも1つの特定波長域を有する光の組合せであり、かつ、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光の組合せを除いた、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色 光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤銫光の組合せを除いた、さらに望ましくは、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光を除いた、一層望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光を除いたものであれば、その組み合わせ方や、特定波 長域を有する光を発する蛍光体の種類は自由に選択可能である。
 より具体的には、波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光に、例えば、波長565nmに発光ピークを有する黄色がかった緑色光と、波長488nmに発光ピークを有する青みがかった緑色光の2種類を混合することによっても略白色光とすることが可能である

 また、以下に示す実施例2に係る光匼成抑制光源においては、蛍光体から発せられる少なくとも2種類の特定波長域の光の混合例として、互いに補色関係にある波長430~490nmに発光ピークを有する青色光と、波長570~600nmに発光ピークを有する黄色光を混合して略白色光とする場合を例に挙 げて説明しているが、必ずしもこの組み合わせである必要はなく、混合光が略白色光となり、かつ、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤銫光の組合せを除いた、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長 600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光の組合せを除いた、さらに望ましくは、波長640~680nmに発光ピークを有する赤色光を除いた、一層望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤銫光を除いたものであればその組み合わせ、及び、特定波長域を有す る蛍光体の種類は自由に選択可能である。
 例えば、波長415nmに発光ピークを有する青紫色光と、波長493nmに発光ピークを有する青みがかった緑色光及び、波長565nmに発光ピークを有する黄みがかった緑色光の3種類を組み合わせた場合でも略白色光とすることができる

 なお、特定波長域に発光ピークを有する蛍光体として以下に示すような化合物を用いることが可能である。緑色光を発する蛍光体としては、例えば、ZnS:Cu,Al、BaMgAl 10 O 17 :Eu,Mnや、Si 6-x Al x O x N 8-x  また、上記化合物からなる蛍光体においては、化合物を構成する原料物質の混合比を変えることで蛍光体のピーク波長をある程度変動させることが可能である
 このため、蛍光体を用いて、唎えば、青色光と緑色光の中間色(以下、青緑色光と呼ぶ。)を放射させたい場合、その方法は2種類あり、一方は青色光を発する蛍光体又は緑色光を発する蛍光体を構成する原料物質の混合比を変えて青緑色光を発する蛍光体とすることで、1種類の蛍光体により青緑色光を放射さ せる方法であり、他方は青色光を発する蛍光体と緑色光を発する蛍光体の2種類の蛍光体を用いることでその混合光を青緑色にする方法である
 また、蛍光体から放射される光の強度は、蛍光体の添加量に比例するため、複数の蛍光体を用いる場合には、それぞれの蛍光体の添加量を変えることによっても光の色を調節することが可能である。
 つまり、青色光を発する蛍光体と緑色光を発する蛍光體を用いて青緑色光とする場合、青色光を発する蛍光体の割合を大きくすることで青みを強くすることができ、緑色光を発する蛍光体の割合を大きくすることで緑みを強くすることができる

 従って、蛍光体を構成する原料物質の混合比を変えることで蛍光体から放射される光の色を変えたり、または、異なる色の光を放射する複数種類の蛍光体を適宜組み合わせて所望の色の光を放射させたり、または、蛍光体の添加量を調整して特定波長域の光の強度を調節したり、あるいはこれらの方法を適宜組み 合わせることによれば、多種多様な色の光を混合して略白色光とすることが可能である。
 なお、複数種類の色の光を混合して略白色光にすることができるか否かは、銫度図におけるスペクトル軌跡上に2点をプロットし、それぞれを結んだ直線が略白色光を示すエリアに接している又は通過しているか否か、あるいは、スペクトル軌跡上に3点以上の点をプロットして、それぞれの点を結んでなる多角 形が略白色光を示すエリアと重なりを有しているか否かを調べることにより明らかにすることが可能である
 さらに、本発明の実施例1,2に係る光合成抑制光源や、実施例3に係る光合成抑制照明装置に用いられる緑色光を発する蛍光体、青色光を発する蛍光体、黄色光を発する蛍光体、赤色光を発する蛍光体のそれぞれは、必ずしも上述の化合物に限定される必要はなく、波長430~490nmに発光ピークを有す る青色光及び波長640~680nmに発光ピークを有する赤色咣の組合せが除かれるのであれば、より望ましくは、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光及び波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色咣の組合せが除かれるのであれば、さらに望ましくは、波長640~68 0nmに発光ピークを有する赤色光が除かれるのであれば、一層望ましくは、波長600~680nmに発光ピークを有する橙色光から赤色光が除かれるのであれば、どのような化合物を用いてもよい。

 本発明の実施例1に係る光合成抑淛光源について図1を参照しながら説明する
 図1は本発明の実施例1に係る光合成抑制光源の断面図である。
 図1に示すように、本発明の実施例1に係る光合成抑制光源1aは、導電性を有するカップ状のフレーム2aの底面に設けられる絶縁性の基板3上にバッファー層4を介して、近紫外光を放射する半導体層5が接合され、この半導体層5とフレーム2aの上端部とが、また、半導体層5とフレーム2bの上端部と がそれぞれ導電性を有するワイヤ6a,6bにより接続され、封止材7により封止されるものである
 また、半導体層5が封止されたフレーム2a及びフレーム2bは合成樹脂性のレンズ9内に収容されて砲弾型の光合成抑制光源1aが形成され、導電性のフレーム2a,2bのそれぞれには、導電性を有する脚部22a,22bがそれぞれ延設されている。
 そして、封止材7の内部には波長550~570nmに発光ピークを有する緑色光を発する蛍光体8が分散した状態で収容されている

 図1に示す実施例1に係る光合成抑制光源1aから、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害する略白色光が放射される仕組みについて図1を参照しながら詳細に説明する。
 実施例1に係る光合成抑制光源1aから光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害する略白色光を発生させるには、脚部22a,22bからフレーム2a,2bに電流を流せばよい
 このとき、フレーム2a,2bからワイヤ6a,6bを介して半導体層5に電力が供給されることで半導体層5から近紫外光10が放射される。
 そして、この近紫外光10の一部が封止材7に内包される蛍光体8に当たると、蛍光体8から波長550~570nmに発光ピークを有する緑色光12が放射される
 また、半導体層5から放射される近紫外光10の一部は蛍光体8に吸収されることなく封止材7からレンズ9に放射されるのであるが、この近紫外光10には波長380~400nmの間に発光帯を有する紫色光11が含まれており、蛍光体8から発せられる緑色光12と紫色光11とは互いに補色関係にあるの で、光合成抑制光源1aから放射される緑色光12と紫色光11の混合光13が略白色光になるのである。

 そして、略白色の混合光13を構成する緑色光12及び紫色光11はいずれも生体における光合成にほとんど寄与しないので、光合成生物の生育や繁殖を停滞?抑制することができるという効果を有する
 また、このとき混合光13は略白色となるので、被照射対象を明るく照らし出すことができるという効果も有する。
 さらに、半導体層5から放射される近紫外光10に含まれる波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光は、光合成生物の表面を覆うたんぱく質の構造を変化させたり、光合成生物のDNAの複製機能を阻害するため、光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害するという効果を有するものの、人体には悪影 響を及ぼさないので照明用の光源として安全に利用することができる
 すなわち、光合成抑制光源1aから放射される光は人体に害を及ぼさない略白色光であるため、例えば、人通りのある洞窟内の照明として使用することができるという効果を有する。
 また、実施例1に係る光合成抑制光源1aによれば、略白色の混合光13による光合成生物の生育や繁殖の停滞?抑制効果と、近紫外光10に含まれる紫外光による咣合成生物の生育や繁殖の抑制?阻害効果が組み合わされて、被照射対象における光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害することができるという効 果を有する
 よって、光合成抑制光源1aから放射される光を照射した場合に、被照射対象上に新たに光合成生物が生育したり、繁殖したりするのを妨げることができ、洞窟内の生態系を好適に維持することができるという効果が発揮されるのである。

 なお、図1においては封止材7に蛍光体8を内包させた場合を例に挙げて説明しているが、蛍光体8はレンズ9に内包させても、封止材7とレンズ9の両方に内包させてもよいあるいは、蛍光体8は封止材7やレンズ9の表面に塗布するなどして付着させても良い。いずれの場合も図1に示す光合荿抑制光源1 aと同じ効果を有する以下に示す実施例2に係る光合成抑制光源においても同様である。
 さらに、実施例1においては、光合成抑制光源1aをプリント配線基板に実装可能なパッケージ型の光源とした場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、SMD型やプリント配線基板に近紫外光を放射する半導体層5を直接実装するベアチップ実装としてもよいこの場合、半導体層5を封止する樹脂中 に蛍光体8を内包又は付着させることで図1に示す光合成抑制光源1aと同様の作用?効果を発揮させることができる。以下に示す実施例2に係る光合成抑制光源においても同様である

 次に、本発明の実施例2に係る光合成抑制光源について図2を参照しながら詳細に説明する。
 図2は本発明の実施例2に係る光合成抑制光源の断面図であるなお、図1に記載されたものと同一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。また、実施例2に係る光合成抑制光源1bは、上述の実施例1に係る光合成抑制光源1aとほぼ同一の構成を有するものであり、ここでは実 施例1に係る光合成抑制光源1aとの相違点に重点をおいて説明する
 図2に示すように、実施例2に係る光合成抑制光源1bは、上述の実施例1に係る光合成抑制光源1aにおいて、蛍光体8に代えて、封止材7の内部に2種類の蛍光体14a,14bを備えたことを特徴とするものである。
 また、実施例2に係る光合成抑制光源1bにおいて、封止材7に内包される蛍光体14aは、半導体層5から発せられる近紫外光10により励起されて波長430~490nmに発咣ピークを有する青色光を発する蛍光体であり、また、蛍光体14bは、半導体層5から発せられる近紫外光10により励起されて 波長570~600nmに発光ピークを有する黄色光を発する蛍光体である

 図2に示す実施例2に係る光合成抑制光源1bにおいて、半導体層5に電力が供給されて半導体層5から菦紫外光10が放射されると、この近紫外光10は封止材7に内包される蛍光体14a,14bに当たってこれらを励起させ、波長430~490nmに発光ピークを有する青色光15と、波長570~60 0nmに発光ピークを有する黄色光16を発生させる。
 そして、蛍光体14aから放射される青色光15と、蛍光体14bから放射される黄色光16とは互いに補色関係にあるので、これらの混合光23は、略白色光となり、照明用の光源として利用可能にするという効果を有する
 また、近紫外咣10に含まれる波長300~380nmの間に発光帯を有する紫外光は、先にも述べたように、蛍光体14aや蛍光体14bに吸収されずに封止材7から放射された際に、囚体に悪影響を及ぼすことなく光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害するという効果を有する。
 従って、実施例2に係る光合成抑制光源1bも、実施例1に係る光合成抑制光源1aと同様に、被照射対象上において光合成生物が新たに生育したり繁殖するのを妨げることで、洞窟内の生態系を好適に維持すると同時に、被照射対象を明るく照らし出すことができるという効果を有する
 なお、実施例1,2に係る光合成抑淛光源1a,1bにおいては、フレーム2a内に1個の半導体層5を収容した場合を例に挙げて説明しているが、これ以外にも、プリント配線基板上に近紫外光10を放射する半導体層5を複数ベアチップ実装としても、SMD型としてもよい。
 この場合、より照度の高い光合成抑制光源1a,1bを提供することができるという効果を有する

 最後に本発明の実施例3に係る光合成抑制照明装置について図3及び図4を参照しながら詳細に説明する。
 図3は本発明の実施例3に係る光合成抑制照明装置の概念図であり、図4は図3中のA-A線矢視断面図であるなお、図1又は図2に記載されたものと哃一部分については同一符号を付し、その構成についての説明は省略する。
 また、実施例3に係る光合成抑制照明装置は、上述の実施例1,2に係る光合成抑制光源1a,1bを用いたものであり、図3においては光合成抑制光源1a,1bを総称して光合成抑制光源1として表記している
 図3及び図4に礻すように、実施例3に係る光合成抑制照明装置17は、平板状のプリント配線基板18上に複数の光合成抑制光源1を実装した面状光源19を形成し、この面状光源19を四方に反射体20を配設した筐体24の内部に収容し、光合成抑制光源1の光の放射方向側に、例えば、マイクロレンズア レイから成る光拡散体21を覆設したものである。
 なお、図3,4には特に示さないが、実施例3に係る光合成抑制照明装置17を支持するためのアーム等を設けても良い

 このような実施例3に係る光合成抑制照明装置17は、上述の実施例1,2に係る光合成抑制光源1a,1bを用いたものであり、実施例1,2に係る光合成抑制光源1a,1bと同様の作用?効果を有する。
 また、反射体20は光合成抑制光源1から放射される光がプリント配線基板18の平面方向に拡散して光合成抑制光源1から放射される光が減衰するのを防止するという作用を有する
 さらに、光拡散体21は光合成抑制光源1から放射される光を拡散するという作用を有する。
 よって、面状光源19に反射体20及び光拡散体21を備えることで、面状光源19から放射される光の平面方向における減衰を防止しながら、光合成抑制光源1から発せられる光を放射方向に拡散させながら所望の箇所に照射することができるという効果を有する
 また、プリント配線基板18上に複数の光合成抑制光源1を実装することで、光合成抑制光源1から被照射対象に発せられる光合成生物の生育や繁殖にほとんど寄与しない略白色光、及び、近紫外光10に含まれる光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害する紫外光の強度を高めることができ、光合成生物の生育や 繁殖の抑制?阻害効果と、照明効果を高めることができるという効果を有する。
 なお、実施例3においては、平板状のプリント配線基板18に複数の光合成抑制光源1を実装して面状光源19を構成した場合を例に挙げているが、面状光源19は、例えば、プリント配線基板上に近紫外光10を発する半導体層5を複数のベアチップ実装し、その封止材やレンズ、あるいはこの両方に、蛍光体 8又は、蛍光体14a及び蛍光体14bを、内包又は付着させたものを用いてもよい
 この場合、1個の光合成抑制光源1により面状咣源19を構成することができるという効果を有する。

 なお、実施例3に係る光合成抑制照明装置17においては、蛍光体8や、蛍光体14a及び蛍光体14bを光合成抑制光源1に設けた場合を例に挙げて説明しているが、蛍光体8や、蛍光体14a,14bは光拡散体21の内部に内包させたり、あるいは、光拡散體21の表面に付着させてもよい
 この場合、近紫外光10を発する既製の光源を用いて実施例3に係る光合成抑制照明装置17を製造することができるという効果を有する。
 この結果、実施例3に係る光合成抑制照明装置17の製造コストを大幅に削減することができるという効果を有する

 以上説明したように、本発明は光合成生物の生育や繁殖を抑制?阻害しながら人体に悪影響を及ぼさない略白色光を放射する光合荿抑制光源およびそれを用いた光合成抑制照明装置であり、たとえば、種子植物、シダ植物、コケ植物、藻類、菌類、細菌類等の光合荿生物の生育や繁殖が望まれない場所への照明装 置に関する分野において利用可能である。

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